2018.11.28

ハイアット・リージェンシー 瀬良垣アイランド沖縄 インタビュー2:橋本由紀夫デザインスタジオ

物件概要

2018年8月に開業した、ハイアット リージェンシー

瀬良垣アイランド 沖縄  は、沖縄本島の有数の

リゾート地域、恩納村に位置します。

今回、ワークテクトは、共用エリア、レストラン、客室、

スパなど施設内全体の照明デザインを担当しました。

このプロジェクトに関わる、事業主の東急不動産株式会社 、

インテリアデザインを担当した有限会社

橋本夕紀夫デザインスタジオ(HYDS) 、

オペレーターであるハイアットリージェンシー

瀬良垣 アイランド 沖縄、それぞれにインタビューを

施行しました。その各ポジションの”光・照明”、”インテリアデザイン”

ホテル環境”についての考えを紹介していきます。

URL: https://www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/hyatt-regency-seragaki-island-okinawa/okaro

写真:Jimmy Cohrssen

 

ハイアットリージェンシー 瀬良垣アイランド

沖縄 プロジェクト: Lighting Design の視点から、

リゾートホテルの環境つくりについて

 

橋本由紀夫デザインスタジオ

【光とともに移ろう時をデザイン】

( W : 株式会社ワークテクト  , H : 有限会社 橋本夕紀夫デザインスタジオ)

 

W: 橋本さんのデザインに対する向き合い方、スタイルを教えてください。

H: ケースバイケースですが、プロジェクトの

概要を聞き、最初からデザインを提案する場合と、

ディスカッションを繰り返しながらデザインを提案

していくという二通りがありますが、ほぼ後者の

スタイルが多いです。依頼主のやりたいことを聞き出し、

コンセプトをつくっていく。そのコンセプトを共有し、

そして一緒に考えていくという感覚が大事だと思っています。

 

W: ホテルデザインについて、シティホテル、リゾートホテルの違い。そしてホテルブランドによってデザインのスタイルは違ってきますか

H: 基本的には、シティホテルもリゾートホテルも

機能面などでは同じだと思います。リゾートの方が

滞在時間が長いので、よりホテルライフを楽しんで

もらえる、ディスティネーションになるような

ものにした方が良いと思っています。

ホテルブランドが違えば、そのブランドのア

イデンティティを一から読み込み、デザイン

としてはゼロからつくり込むものとして捉えています。

 

W:「移ろい」というデザインのテーマについて、具体的にどんなイメージだったのでしょう

H: 風になびくカーテンのヴィジュアルがあり、

その”風”のイメージが先ずありました。

木漏れ日の光と影、1日の変化、四季の変化

などが自然に感じられる、そんなホテルに

したいと思って「移ろい」という

テーマを提案しました。

 

W: 沖縄の土地に根ざした素材をインテリアに採用していることについて教えてください.

H: 琉球石灰岩、琉球ガラス、グスクなど

様々なエリアに取り入れました。そして、他には

ないと思って使ったのがウージ染めです。

サトウキビを原料につくられる染物で、

その若葉色の鮮やかさが印象的でした。

客室のアートワークに採用し、

沖縄の自然を肌で感じてもらえる一つかと思っています。

 

W: 照明デザインについて、今回はどのような考え、イメージで進められましたか、そして照明に対して求めるものは何でしょうか

H: ホテルの顔でもあるロビーラウンジでは

形が全部違う木のフレームを施し、”光と影を

つくるキューブ”をテーマに意匠照明器具にも

表しました。時間とともに移りゆく光の形、

流れを人工照明でも表現したかったのです。

照明演出は、ドラマテックなものと自然に表現

していくものがあると思います。特に今回は、

自然に表現すること、ライティングしていること

さえ忘れるようなイメージで、直接的な光を抑え、

間接光をメインにしたいとワークテクトさんとも

話し合っていきました。建築・インテリア・照明は

一体のもの。コンセプト共有が大事だと思って

いますので、今回も、最初の段階から一緒に

対話しながら決めていきました。ちょっと

最近の光体験のことをお話ししますと、

訪れたアメリカ フォートワースにあるキンベル美術館。

まるで光と物質がピタッと融合しているかのように、

”あの光でないとあの建築ではない”と

思わせるような印象がありました。このような光を

切り口に空間をつくっていっても良いと思っています。

私たちインテリアデザインをする側は光の

イメージを持ち、それを照明デザインに実現してもらう。

これから、ますます大事なことではないでしょうか。

 

“建築・インテリア・照明”は一体であり、コンセプト共有が大事だということが強く伝わってきました。

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